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ライター今泉愛子のブログです
名古屋ウィメンズ 女子選手と陸上競技

名古屋ウィメンズ、よかったですね!

私は、自分のレースがあったので、テレビ観戦できませんでしたが、リザルトを見ただけでこみ上げてくるものがありました。

 

優勝した安藤友香選手は、2017年の名古屋ウィメンズでマークした2時間21分36秒をなかなか更新することができませんでした。

これは彼女の初マラソンだったんですよね。

そこからの道のりがなんと険しく長かったことか。

 

あの時、あれだけ走れたのになぜ? という想いはずっとあったと思います。

あの後、こんなに練習を積んでいるのに、と。

それでもくじけず石の上にも7年。

そのひたむきさに心打たれました。

 

そして日本人2位の鈴木亜由子選手も素晴らしい。

鈴木選手は、32歳。

これまでちょくちょく故障もされて、順風満帆とは言えないところもありました。

 

何年か前まで中学2年800mの歴代記録に、私も亜由子さんとともに名を連ねていたのですが、亜由子さんはここからずっとトップ選手として活躍し続けている、その息の長さに感服します。

 

私は早々に脱落しました。

振り返ると、私はランニング一筋に自分を落とし込めなかったです。

文化的なことに興味が強くて、高校時代、大学時代とある意味、ふらふらしていました。

音楽や映画、文学、絵画、語学などに興味があって、ランニングに気持ちを100%注いでいなかった気がします。

 

もちろんランナーにも息抜きは必要ですから、文化に触れることは悪くありません。

でも優先順位をはっきりしておかないと迷います。

うかうかしていると地に足つけてランニングに取り組むところから外れてしまうんですよね。

 

私の場合はそういう好奇心が今の職業につながっていますから、ある意味必然です。

でももしランナーとして生きるなら、好奇心もうまくコントロールする必要があったと今は思います。

 

夜な夜な好きなバンドのライブに通ったり、休日のたびに南の島でスキューバダイビングを楽しんだり、パンケーキざんまいの休日を過ごしたり、流行のファッションに身を包んだり、というようなことを楽しみたいなら楽しめばいい。

でも人生は一度きりなので、それとランニングに打ち込むことを両立することは難しい。

会社員としてバリバリ働いて出世を目指す、管理職を目指す、というようなこともできません。

要は自分が何を選択するか、です。

 

亜由子選手だけではなく、長く続けている選手はどなたも、そうやって自分自身の生き方を選択して貫いているんだなあと思うと、本当にあっぱれです。

 

キャンディーズは「普通の女の子に戻りたい」とアイドルを引退しました。

私もランナーとして生きることを選択できませんでした。

当時の私は「普通の女の子」ぽい人生を求めたんですよね。

 

そして今、わたしは競技を最優先してなるべく興味を広げないように注意しています。

とにかくこれからの人生は、ランニングを最優先する。

もう迷いはありません。

 

女子選手たちがイキイキと走っている姿を心から応援しているのは、彼女たちの選択を支持したいから。

もちろん男子選手だって頑張っているのですが、男子は「スポーツ選手」という生き方がある程度、確立されています。

プロ野球選手やJリーガーもいますし、ランニングも実業団で長く走り続けている選手が古くから大勢います。

 

女子選手はまだスポーツを職業とする生き方が社会的に馴染んではいません。

出産という年齢のリミットがあるのも大きいですし、結婚にもハードルがあります。

 

男子選手が結婚する場合、妻は100%夫を応援します。

夫のために料理も頑張るし、家のことで煩わせたりしないように心を砕きます。

ほとんどの男子選手はそういう女性でないと結婚しないでしょう。

女性も喜んで、男性のスポーツへの頑張りに奉仕します。

 

でも、逆のパターンは難しい。

今、共働きカップルで、男女が「平等」に家事を負担するカップルはいるかもしれません。

でもこれがスポーツ選手同士の結婚だったらどうでしょうか。

妻が選手で、夫が家事全般を引き受けるようなカップルは少ないと思いますが、

「平等」ですら難しいのが現状。

 

男子選手は結婚すると、ますます競技に打ち込める環境が整います。

長期合宿だって海外遠征だって、妻は快く送り出してくれるでしょう。

 

だけど女子選手は結婚後、そうなることは想像しづらい。

とすると、結婚を躊躇する女子選手は少なからずいると思います。

出産もしかり。

競技を貫くことの厳しさを思うと「がんばれ!」と心から思います。

 

女子選手をこれからもずっと応援します。

彼女たちが笑っている姿を見ると、本当にうれしい。

安藤選手、鈴木選手、そして加世田選手、お疲れさまでした。

女子選手たち、みんな頑張ってね、といつも思っています。

 

 

 

posted by 今泉愛子(詳細はクリック) | 09:09 | ランニング | comments(0) | - |
大阪国際女子マラソン 前田穂南さん日本新記録!

大阪国際女子マラソンで前田穂南さんが日本新記録を更新しました。

2時間18分59秒!!

本当におめでとうございます。

圧巻でした。

パリ五輪代表に大きく近づいたと思います。

 

選手たちの狙っていたものの違いが大きく出たレースでした。

注目されていたのは3選手。

前田穂南選手、松田瑞生選手、佐藤早也伽選手です。

 

オリンピック代表になるためには、MGCファイナルチャレンジ設定記録2.21.41の突破が最低限の条件でした。

事前のインタビューで松田選手は、突破するだけではダメだと思う、と22029を目標に掲げていました。

佐藤選手は、22100。

前田選手は、A.R.Eとケムに巻いていました。

 

仕掛けが早すぎる?

 

レースは、ペースメーカーが先頭でファイナルチャレンジ記録を目安に引っ張っていましたが、前半は3’20を切ることも多く、やや速め。

「速すぎる」という声も出ていましたが、前田選手はハーフすぎから飛び出しました。

この時、仕掛けが早すぎるという見方も多かったんです。

 

24kmあたり、ペーサーがついている集団が前田さんとの距離を詰めた時もありました。

この時は、佐藤選手が有利と見る向きもありましたし、ハーフすぎで先頭集団から遅れた松田選手にも挽回の可能性があると実況中継のアナウンサーは言っていました。

 

でもなんのなんの。

全く寄せ付けませんでした。

 

目標設定から違っていた

 

レース後の会見で、ついに前田選手がA.R.E.の真意を明かしました。

日本記録を狙っていたと。

誰よりも高い目標を定めていたんですね。

 

武富監督も2時間20分は切れると思っていた。それだけの練習はできていたと。

 

これはもう他の2選手は完敗でしょう。

佐藤選手は、スピードを強化したと話していました。

おそらく30kmまでペースメーカーについて、そこからの勝負を想定していたからでしょう。

でもそこまでに勝負がついてしまった。

 

松田選手は、東京五輪を走れなかった無念を何度も口にしていました。

つらかった気持ちはわかります。

自分の気持ちをどこへ持っていけばいいのか。

無念さは計り知れないです。

でもそこでその感情をもっと早く処理しなくてはいけないんですよね。

自分をかわいそうだと思う気持ちに足を引っ張られてしまう。

「なめとんか。これで終わる私ちゃうわ」くらいの勢いがないと勝利の女神を引き寄せられません。

 

でも2選手とも日本人選手の2位3位です。第二集団に吸収されることはありませんでした。

そこはやはり日本人選手の中で一線を画しているということですね。

 

前田選手は、東京五輪での失敗、MGCでの失敗がありましたが、そのショックを微塵も感じさせずトレーニングに打ち込んできました。そして誰よりも高い目標を掲げて頑張った。その心の強さが素晴らしい。

大阪国際に向けては、MGC前よりもさらに量も質も上げたトレーニングを積んだそうです。

 

これまで日本記録は、海外でペースメーカー付きで出されてきました。

でも前田選手は、後半から独走で、ネガティブラップを一人で走り切ったんです。

本当によくがんばりましたよね。

おめでとうございます。

お疲れさまでした。

 

どうなる? 名古屋ウィメンズ

 

そして気になるのは名古屋ウィメンズです。

ペースメーカーは、21900でしょうか。それとも21845にしますか。

とにかく前田選手の記録を上回らなくては意味がないわけで、ものすごく高いところを目指すことになります。

あと2ヶ月ありませんから、出場する選手たちがここまでどれくらいを目標に練習を積んできたか、です。

 

今回のペースに、松田選手も佐藤選手もついていけなかったわけですから、今日より速い21900を目指したペースメイクに30kmまでついていける選手は多くないでしょう。

そういう想定の練習をしていない、という可能性も高い。

さあどうなるでしょうか。

 

自律している前田選手

 

レース後の記者会見で、前田選手が武富監督の方を一切見ずに答えている姿も印象的でした。

私たちの時代は、選手が答える前は必ず監督の方を見ていました。なんなら監督が答える。

あるいは「監督に聞いてください」と答えたりとかね。

自分を白紙にして監督に委ねなくてはいけない。そんなところがありました。
選手の自我なんて邪魔でしかない、と思われていたんです。
でも今は違う。

前田選手は声の出し方もいいんですよね。腹が据わっているというか。

自律していてカッコいい。

こういう強さがあるから、ドリンクを取り損ねても動じないんですよね。

 

新谷選手の挑戦も楽しみ

 

新谷選手のマラソン日本記録チャレンジも楽しみですね。

国内で、単独走で、目の前で、日本記録が更新されたわけですから。

さあ、ここから再び新谷仁美の強さを見せてほしい!と思います。

 

女子マラソン、一気に歴史が進みましたね。

本当に大きな一歩。

前田選手、本当におめでとうございます!

レース後の記者会見の様子はYouTubeで公開されています。

これも要チェックです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

posted by 今泉愛子(詳細はクリック) | 05:52 | ランニング | comments(0) | - |