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ライター今泉愛子のブログです
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フィンランドひとり旅3

8月の上旬で、ホテルやコテージは満室なのに、
山に人はいない。


会うのは、トナカイ。
このあたりは人よりトナカイの方が多いのかも。
フィンランドでは、トロい人のことを「トナカイみたいな奴」と
言うらしいです。

トロいというか・・・なんでしょう。
人がいい感じ。
人じゃないんですけど。
犬みたいな利発さは感じません。
いつ見てものんびりと草を食べていました。

わたしのほうは、登山というよりは、ハイキング。
いやむしろ散歩程度にぶらぶら歩いているだけでした。

トナカイに欠けているのが利発さだとしたら、
私に欠けているのは勇気でした。

知らない道を歩き続けていると、
ある地点で不安が好奇心を上回るようになるんです。
そこからは不安がどんどん加速してゆく。
「道に迷ったらどうする?」
「強盗がきたらどうしよう?」
「足をくじいたらどうしよう?」
「雨が降ってきそう。やばい」
次から次へと不安が襲ってきて、
からだはカチコチ、胸はバクバク。
しまいには足がすくんで前に進めなくなる。

山を歩いていた時、遠くの道を車が走っているのが見えたんです。
「女性が一人で山歩きしている、とわかったら、
狙われるんじゃないか!」と正気で思いました。
その車から私のことが見えるはずがないのに。

ふつうに考えて、こんな山中に悪い人はいません。
そういう悪い人は、ヘルシンキに行くでしょう。
キルピスヤルビまで来て、強盗を働こうとするなんて、
いくらなんでも経済効率が悪すぎる。
そうやって自分に言い聞かせるんですけど、
ドキドキはおさまらない。
「一人歩きの女性を狙う、地元在住の悪い人がいるかもしれない」
そういう雑念が100個、200個と飛んできて、
自分を脅す。
不安って、放っておくとどんどん広がるんですね。
心が、体の自由を奪うことってあるんだと思いました。

新しいことをしようとすると、不安が押し寄せてくる。
「大丈夫なの?」と何度も何度も問いかけてくる。



こんな明快な案内表示を見ても、
「でも道を間違えるかもしれない」と思ってしまうんです。
不安というのは、いったん増殖し出すと、
勇気や希望を全力で否定してかかる。
コントロール不能な相当やっかいな感情でした。
Stand by me みたいな「ひと夏の冒険」はできませんでしたね。

とはいえ、日々は穏やかに過ぎてゆきました。
この時期は、夜も12時近くまで明るい(たぶん)のですが、
8時にはベッドに入っていました。
そこでちょこちょこと日記を書いて、
起きるのは、2時3時(もう明るい)。
4時くらいから散歩。
山を歩こうとすると胸がドキドキしますが、
コテージ近辺を散歩するのはとても楽しい。
素敵な別荘を見つけては、「持ち主はどんな人だろう」
「インテリアはどんな感じ?」なんて考えながら歩く。
車庫に日本車が止まっていたりすると、ちょっと誇らしかったりとか。

ひとつ失敗したのは、3カ国地点に行けなかったこと。
スウェーデン、ノルウェイ、フィンランドが1点で交わる箇所があるんです。
国境警備員なんていない、のどかな山のなかに。
絶対に行こうと思ったわけではないので、きちんと下調べをしなかったら、
たどり着けませんでした。車がないとむつかしいですね。
(駐車場からもフェリーに乗り、さらに3時間くらい山の中を歩きます)

ふたたびバスに揺られ、電車に揺られて20時間。
次はヘルシンキです。



posted by 今泉愛子(詳細はクリック) | 07:00 | | comments(0) | trackbacks(0) |
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