作家の「はあちゅう」さんが、「作家とライターは違う」と書いていました。
自分は、作家であって、ライターではない。
ライターと言われると正直ムッとする。
とか。
はあちゅうさんのことを「ライター」だという人は、
もしかすると、作家を小説家だと思っているのかもしれませんね。
作家というのは、自らの意見を書く人、
ライターというのは、誰かの意見をレポートする人。
ざっくり言うとそういう違いではないかと思います。
私は、ライターです。
書籍のお手伝いでは、いわゆるゴーストライターです。
社会的地位は低いかもしれません。
友人などに自分の仕事を「いわゆるゴーストライターだね」と説明すると、
みんなちょっと複雑そうな表情をします。
だけど私は、これはプロ中のプロの仕事、と思っておりまして、
「低く見られてる!」などとイラっとくることは全くありません。
私が仕事で書く文章に、「わたし風味」なんて全く必要ありません。
そこを勘違いしてしまうと、ライターという仕事はつらいだけです。
書くのが好きだから、「ライター」になりたい、とおっしゃる方もいますが、
大抵は、それは「作家」です。
自分で自分の思いを書いて、認められたい。
ブログなども、自分発信ですよね。
それの延長として、ライターを考えているとしたら、それはちょっとちゃいまっせ、と。
私は、ここのブログで書いている限りは、かなり自分にこだわっている、
自分大好き人間という感じですが、
仕事では、全然そんなことないです。
もっと淡々と集中して書いています。
ただ「ライター業」だけでこの先ずっとやっていけるほどには、
文章がうまくない、というのを最近感じているんです。
そこまでの圧倒的うまさはない。
だから「作家」的な方向を模索している。
と書くと、ライターより作家の方が文章が下手でいいのか、と思われそうですが、
作家の世界では、「自分の色」を持つことが、
文章の上手い下手よりも優先されます。
面白ければ、文章は下手でも許される。
もちろん、ほとんどの作家さんは圧倒的なうまさを持っていますが。
冒頭に書いたはあちゅうさんにしても、先日、お名前を出した、北条かやさんにしても、
ライターではなく、作家。
北条さんはライター的な仕事もなさっていますが、
目指しているのは、作家としての一本立ちなのかな、と思います。
(余談ですが、いま彼女は壁にぶつかっておられるみたいです。頑張ってほしい。マジで)
私は、個人でホームページを持ってちょこちょこと書いていたこともありました。
ライター業の傍ら、ハンドルネームだけでやっていた。
それは、まさに自分色の世界。
商売にするつもりもなく、ある意味本業での欲求不満の捌け口としての文章を
綴っていた、とも言えます。
ちなみにこのブログのタイトル「Desert Island」は、そのホームページの名前です。
無人島。
誰かが偶然発見してくれたらうれしいな。
そんな想いからつけました。
今、このブログについてはそんな甘っちょろいこと「誰かが発見してくれたらうれしい」を
考えてはおりません。
私は、仕事では、わたし風味で書くことが苦手なんです。
ずっと雑誌や有名人の風味で書いてきたため、
自分らしい文章がわからない。
男性誌のpenと、女性誌のHERSでは、文体がまるっきり違います。
同じトーンでは書かない。
そういうことを難なくやってきた、
つまりキャラ設定を他人任せ、媒体任せにしてきた結果として、
自分キャラで書くことが苦手。
ありていにいうと恥じらいがある。
そういうところを払拭したくて、ブログを書いております。
なので、あえて恥ずかしい部分にも踏み込んだりとか。
自分大好きなところを出してみたりとか。
そういうことを繰り返しつつ、自分風味を模索中、と。
でもすでに薄々気づいているのは、私はやっぱり中村うさぎや菜摘ひかるのような、切実さはない。
かといって、酒井順子のような、独自の視点も持てない。
ちょっとどうかな、と思うところではあります。自分に対して。
自分色、自分らしさに対して。
だけど、諦めるのも早い。
というか、もうちょっと続けてみろ、と私の中の総司令官が言ってる。
なので、とりあえず一年は続けてみようと思っています。