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ライター今泉愛子のブログです
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米国はもう稼げません
大停滞
タイラー・コーエン
NTT出版
1680円

お次はこちら。
今をときめく、タイラー・コーエンです。

こちらも昨年の話題の書ですが、
彼の主張については賛否両論ありますね。

端的に言ってしまえば、
もう米国経済は大きな成長を望めませんね。さてどうしますか。
というお話です。
なるべく緻密な論を知りたい方にはお勧めしないし、
今のアメリカ経済の状態をさくっと知りたい方にはお勧めします。

タイラー・コーエンは、これまでのような経済成長モデルを踏襲することは
不可能です、と言っています。

産業の世界でイノベーションが起きると、人々の生活は豊かになります。
車が誕生すれば、人や物の交流がうまれます。
ハイビジョンテレビができれば、より豊かな映像ライフが送れます。
インターネットの発達もそうでした。

車の誕生は、雇用を生みました。工場にはたくさんの労働者が必要だったんです。
一方で、人は「車」を、お金を払って手に入れました。
車メーカーは、たっぷり儲けられたんですね。

こうして経済は回っていたわけですが、
インターネットって、
雇用をたくさん生み出すわけでなし(むしろ減らすことの方が多い)、
提供側が儲けることだってけっこう難しい(積極的にお金を払おうとしない利用者が多い)。

タイラー・コーエンは、「容易に収穫できる果実」という言葉を使って、
3つの経済成長要因を説明します。
ひとつは、先に書いたイノベーション。
ほかに、無償の土地、未教育の賢い子どもたちをあげています。
無償の土地というのは、アメリカ大陸です。
アメリカ大陸にやってきた入植者たちは、そこから大きな経済発展を築きました。
未教育の賢い子どもたち、というのは、子どもたちが適切な教育を受けることで、
経済発展に貢献できる大人になることができる、というわけです。

ところがそうした「容易に収穫できる果実」は、もはやないに等しい。
イノベーションは、大して収益を上げないし、
無償の土地なんてもうない。
子どもたちの教育は行き渡ってしまった。
さてどうしましょうか。

というようなお話です。

これを昨日書いた『ショック・ドクトリン』とつなげると
ちょっと怖い。
もう稼げない、と悟った米国が次に打ってくる手は、
他国で稼ぐこと・・・だったらどうしましょう。

ところで、昨日書いたことにも似ていますが、
こういう本を読んでいると、
経済って、発展しなくちゃいけないのかな。
お金って、儲けなくちゃいけないのかな。
って思います。

グローバリズムって、私が感じるところでは、
築30年の木造平屋に住むよりも、
最新セキュリティシステムを備えたタワーマンションに住む方が
幸せに決まってるじゃん!
と、言われているようなところがあって。

いや、それ誰の幸せよ?
大きなお世話じゃん!
みたいなね。

しかもそのタワーマンションを売ってるのが、多国籍企業だったりして、
国内企業はほとんど儲かっていなかったりすると、
脱力じゃないですか。

グローバリズム反対!ってことでもないんですけれども、
全面的に賛成とは言い切れません。
佐々木俊尚さんおっしゃるところの
「グレーな領域」から眺めていたいテーマですね。

posted by 今泉愛子(詳細はクリック) | 07:52 | 書評 | comments(0) | trackbacks(0) |
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