勝負する女
2012.04.22 Sunday
アンリミテッド/コム デ ギャルソン
清水早苗、NHK番組制作班編
平凡社
5775円
この本は、ずいぶんと前に読んで、
やっぱり川久保玲はすごい!と感心したのでした。
先日、山本耀司さんの本を読んだのを機に
書棚から取り出しました。
川久保さんは、雇われデザイナーではないんですよね。
デザイナーであるのと同時に経営者でもある。
今は知らないのですが、コム・デ・ギャルソンという会社、
10年くらい前は、広報という業務に対して
あまり積極的ではなかったように記憶しています。
服がすべて。
そういう考えであると当時お聞きした記憶があります。
(今はわからないのですが)
この本は、川久保玲さん自身と、
周囲の人たちの川久保玲さんに対するコメントで成り立っています。
カール・ラガーフェルドは言います。
川久保はそこに現れて、私たちのゲームの秩序を乱したんです。
まるで違ったものを提案したんですよ。
川久保玲は言います。
そのとき自分がきれいだなと思ったことをやったにすぎないのです。
ただそれに対して、たくさんの反発を受けました。
結果的には、それが次のもの作りをするための刺激になりました。
ああそうですか、わかりました、皆さんの思うきれいなものを作
りましょう、とはまさか思いませんから。なんでわからないんで
すかと、むしろ居直りました。
この本に登場する、川久保さんの言葉には、怒りがみなぎっているんです。
どの言葉にも、川久保さんのパワーを感じる。
ずっと戦い続けてきた人なんですね。
アーティストというと、ちょっと浮世離れしているようなイメージも
あるんです。自由、わがまま、というんでしょうか。
金勘定とは無関係に、自由にのびのびと作りたいものを作る、
というようなイメージ。
でも社会で成功している人・・・つまり仕事として成立させている人は、
そんなことはないですね。
彼女は経営者としてもじつにしっかりしています。
服を作り続けていたいなら、自分で経営するのが一番なんです。
だって「ビジネス」に巻き込まれずに、作りたいものが作れるから。
経営やビジネスに関する言葉もなかなか鋭いんですよね。
年初に朝日新聞で、川久保玲さんのインタビューが掲載されたとか。
残念。読んでません。
本は買えば読めますので。
ちょっと高いんですが、いい本です。