11月に、ランニングを再開して半年が経ちました。
ついにレースに出場し、意気軒昂であります。
走っていると、やっぱり私って走る才能があるなあ、とウキウキします。
私はそもそも、前世はジャガーとかカモシカとか、あるいはラクダとかダチョウでもいいんですけど、
とにかくなんか野山を、あるいは砂漠を駆け回る動物だったと思います。
だって、だだっ広い大地を見るとたまらなく走りたくなりますからね、、、
「あいちゃん、あんた今、人間やで」と自分で自分にささやいてハッとしたりとか。
「才能がある」と感じるのは、どういう状態でしょうか。
私の場合、単純に身体が喜ぶということ。
正しいことをしている感じがする。
身体がのびのびとします。
走っていると、ものすごく気持ちいい。
快感といってもいい。
息が上がって苦しいのに、気持ちいい。
どんどん身体が自由になっていく感じがします。
走っているときは、力を身体の中心にぎゅっと凝縮して、それを前に押し出します。
すると身体がどんどん前へ前へと進みます。
それが快感なんですね。
ものすごくうまく動いている感じがします。
きっと絵を描く人もそうではないでしょうか。
ピアノを弾く人も、将棋を指す人も、どこかにそんな感覚があるんじゃないかと思います。
レースで苦しいと、どんどん身体がバラバラになっていきますが、
なんとか耐えて、とにかく身体の中心に力をとどめる。
すると苦しくても走れます。加速できることすらある。
この感覚は、他人と比較できません。
だから、才能を他人と比較することもできません。
私の才能の方が、あの人の才能より上だ、なんてことは一切考えない。
レースに出れば勝ち負けはあります。
だけどレースは、才能だけの勝負ではないですからね。
わたしは、誰かに勝ちたいという意識はあまり持っていませんでした。
タイムへのこだわりもゼロ。
単純に、自分の前を走る人に頭に来る。ただそれだけでした。
わたしにとって集中するというのは、才能と交信する感じ。
この日、このレース、やるよ。いくよ。頑張ってよ。
と語りかける。
「才能」という別人格がいる。
その人になんとか機嫌よくやってもらう。
だからコンディショニングはとても大切でした。
わたしは身体という箱の持ち主でそれをうまくメンテして、
才能に差し出す、みたいな。
才能に、自分の身体をすべて差し出すことができれば、とても速く走れます。
わたしがバカなことをすれば(例えば暴飲暴食)、才能はそっぽを向きますし、
ヘンな自我を持ち始めると、だったら勝手にすれば、とスネてしまいます。
才能くん、けっこう気難しい。
では才能は、一部の人にしかないものなのか。
恵まれた人間の特権なのか。
それは違うと思います。
誰もが「とっておき」を持っている、なんて甘っちょろいことを言うつもりはありません。
申し訳ありませんが、人にはやっぱりなんらかの優劣はあります。
勉強や美醜がわかりやすいですよね。
世の中には天才がいるし、美人もいます。
才能は「好き」に置き換えていいと思います。
誰でも何か「好き」はありますよね。
オタクのみなさまだけではなく、どんな人にも「好き」はあると思います。
映画が好き、お花が好き、食べることが好き。
わたしのも単純に言えば「走ることが好き」ってことです。
才能を「好き」に置き換えれば、それが他人と比較できるものでないとわかると思います。
あいつより、俺の方が、鉄道を愛している、と張り合っても仕方ないです。
それよりも大切なのが自分の「好き」と気持ちよく付き合うこと。
上手に付き合えば、どんどん幸せになれます。
だけどそれが難しい。
恋愛と同じで、うまい下手がある。
まず第一に「好き」なことだからって、稼げるとは限りません。
たまに「好きを仕事に!」という夢物語を聞きますが、
「好きなこと」が稼げることとは限らない。
わたしなどは教員免許を持っていますから、
教員になって、陸上部の顧問などをする道もありました。
でもわたしの場合、あまりにマイワールドがありすぎて、教員には向きません。
ランニング教室だとか、そういうのもムリでしょう。
賞金稼げるほど速くないし。
なので「好き」で稼ごうとしないことが、
「好き」とうまく付き合うコツのひとつです。
稼げる人は稼げばいいのですが、稼ぐことにこだわりすぎない。
「才能」と置き換えて話しますが、才能って、ものすごく原始的なものなんです。
花を育てるのがうまい。走るのが速い。料理が上手。絵が上手。
そういう原始的なことは、資本主義下にある現代社会にはそぐわないものも多い。
それはしょうがない。
もちろん資本主義にうまく溶け込めば大金がやってきますが、そうそううまくはいきません。
だから、それで稼げなくても文句は言わない。
だけど、幸せは確実にくれます!
だって、それをやってればハッピーですから。
それで十分です。
才能との付き合い方をもう少し考えてみたいと思います。