「本番に弱い」
「スピードがない」
「レースが下手」
「前半型」
「メンタルが弱い」
など、選手の特徴を言い表す言葉がいろいろあります。
主にネガティブなこと。
スプリンターの桐生祥秀さんは一時期「メンタルが弱い」と言われていましたね。
外野は勝手なことを言うのですが、ダメなのはその言葉の呪いにかかってしまうとこと。
自分でそう思い込んでしまうと、その言葉の枠から逃れられません。
「ピークを過ぎた」
「伸び悩み」
「早熟型」
「あいつはもうここまで」
これは私が現役時代に言われた言葉なんですが、みんないろいろ言うわけですよ。
走れないと。
誰かがそう言っていたと教えてくれる人もいるんですね。
人のこと勝手にあれこれ言うなよ!
というか、わざわざ教えてくれなくてもって話です。
こうして人に不信感を抱くようになると、スランプにどっぷりハマります。
「言葉」の持つ威力ってありますね。
その枠組に入れられてしまうと、のびのび走れなくなります。
結果として「勝負に弱い」こともあるかもしれません。
でも決めつける必要はないし、「ピークを過ぎた」のだとしても、それが何か?って話です。
そんなん別にええやろ。
「スピードがない」
例えば800mの選手で400mのベストタイムが54秒台の選手と、55秒台の選手がいたら、54秒台の選手の方がスピードはあるでしょう。でもそれと、ラストの競り合いは全く別物と考えた方がいい。
戦うのは「800m」であって、400mではありません。
マラソンだってそうです。
5000mの記録の良し悪しで、ラストスパートのキレが違うわけじゃないです。
その日、その時、そのタイミングで勝負することに、5000mの記録は関係ありません。
影響があるとしたら「スピードがない」という言葉にがんじがらめになっている自分です。
インタビューで勝因を聞かれて「自分はスピードがないんで、早めにスパートを仕掛けました」と答える選手はいます。
でも、スピードがない選手全員がいつも早めに仕掛けなくてはならないわけではない。
その時たまたまそのやり方がうまくいっただけ。
その選手だって、そのやり方に固執したら進歩しません。
いつも今の自分と向き合って、その時の自分を最大化する。
そうやって人は進化します。
進化は、順位やタイムだけでは測れません。
人の成長は奥が深いですね。